絵画作家 上原一馬 ウェブサイト

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updated 2019-04-29


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上原一馬 2019年のブログ
UEHARA Kazuma's Blog


 

2019.03.23

描かされる男

上原一馬アトリエ

 
制作も終盤に差し掛かる。
 
この段階になると感じることは、「絵に描かされてている」という錯覚だ。
 
最初は、自分がアイディアを考え、描き始めた絵だ。
 
しかしだんだんと、自分で描きに行くというより、絵に呼ばれて描きに行くような状態になる。
 
「ここを直してよ」「そっちをやったらこっちだよ」
 
おいおい、いつから、そんなに自己主張するようになったんだ?
 
仕方なく、今日もアトリエに向かう。
「今日眠いんですけど…」
そんな言い訳、お前は聞いてくれないよな…
 
いつから主従関係が逆転したんだ?
 
そんなことを言っているうちに制作は大詰めに向かう。
 
情けない従僕の最後のあがきだ。
「最後の一手はこっちで入れさせてもらうからな!」

 

2019.02.23

サンドルフィー 静かな叫び

サンドルフィー

 
サンドルフィ(Isvan Sandorfi)。ハンガリーの作家だ。
 
写実画家の中でもその画風は異彩。
 
緻密に、生々しく描かれる人物は、背景のブルーに溶け込み、怪しい光を放っている。
 
静かな世界に、男の叫びだけが響いてくるようだ。
 
人物はそこにいるかのように、存在感があるのだが、
その存在は遠い世界のように現実感がない。
 
ただ、その叫びだけが遠くから聞こえてくるのだ。
 
一瞬にして、その世界に引き込まれ、
異空間の居心地の悪さを味わうこととなる。
 
しかし、画面は清潔そのもので、なぜか美しいものに触れていたくなる。
 
その矛盾の中で、言葉では言い表せない人間の感情を共有したくなるのだ。
 
9月からは日本でもホキ美術館で、大規模な回顧展が開催予定だ。
 
言葉のない世界共通言語でサンドルフィーの絵は叫び続ける。

 

2019.01.26

村上早 生(せい)とは何か

村上早

 
サントミューゼ 上田市立美術館の『村上早展-gone girl-』へ。
 
この美術館主催の山本鼎版画大賞展の大賞を獲った時から気になっていた。
ボロボロの作品を出品してきた彼女は、美術館からの問い合わせに、
蚊の鳴くような声で申し訳なさそうに何度も謝っていたという。
 
作品はシンプル。
余計な要素は何もない。
ただ直感的な線が彫り込まれているのみだ。
 
しかし、その鮮烈な印象。
 
柔らかいフォルムとは裏腹に、
心の深い深いところに突き刺さってくる。
 
作品に隠されたテーマ性が、この心に響く要素になっているように思えた。
 
どんな人物なのだろうと、美術館で映像を見ていて分かったこと。
 
彼女は幼少期に心臓の手術を受け、普通の子ができることを制限された中で生きてきたこと。
その偏見の苦しみとともに生きてきたのだろう。
 
実家は獣医で、いつも死と隣り合わせの中で、生活してきたこと。
「死」が日常にあるということが、彼女の「生」の意識に影響を与えたのだろう。
 
彼女の日常の感情が作品の中に現れる。
どんな悲しい過去も、日常の鬱積も、作品に昇華される。
 
制作なしでは生きられない本物の「作家」とは、こういう人物のことを言うのだろう。
 
こんなに単純なのに、こんなにも新しい。
大賞受賞も、うなずける。

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