上原一馬 2021年のブログ
UEHARA Kazuma's Blog
2021.01.10
長岡國人展 脱皮する大地・浅間山

「長岡國人展 脱皮する大地・浅間山」を観に佐久市近代美術館へ。
ポスターではどんな展覧会か分からなかったが、何となくこれは良さそう、という気がしたので観に出かけた。
まず、「すごい」と感じたのが、和紙のマチエール(質感)を生かした作品群。
大作が並び、さらに巨大な立体的な作品もあった。
素材を見ると、「蚕の繭の袋」と書いてある。
かつての長野県の産業で、今は多くのこの和紙の袋が不要になっているのだろう。
厚みがあり、独特の経年の風合いがある。
さらに、なんとも言えないのが、色である。
落ち着いた自然の色。
とても絵具の色とは思えない深みだった。
着色はアクリルの他、「柿渋」を使用しているようだ。
「柿渋?」よく分からないが、この色はどうやら柿渋の染めによって出しているようだ。
絵具にこだわらず、理想の色や質感を出すために、様々な自然素材を敏感にキャッチしてきたのだろう。
作品は、このシリーズで終わりではなかった。
風景の要素を取り入れた、クールな銅版画作品。
にじみがかっこいい水彩作品。
その上に鉛筆やペンで描かれた素描作品。
世界各国の石碑を拓本にした作品。
それぞれ、技術的にもレベルが高く、作家の多様な表現の幅もすごさを感じた。
思わず顔を近づけて、「近すぎだろ!」という状態で、作品を観賞していた。
地元出身の作家のようなので、どこかでお会いできれば嬉しい。