絵画作家 上原一馬 ウェブサイト

UEHARA Kazuma Website

 
updated 2017-06-05
 


2012.12.10

竹内祐未

カスヤナガト



竹内祐未の個展が 画廊るたん で開催される。


彼女の作品は、とにかく個性的で新鮮。
今までの作家のどの臭いとも違う。
全く新しい表現だ。


西洋の表現とも、日本の表現とも違う。
カテゴライズすらできない。
あえて言えば、漫画か?
それとも何か違うような気がする。


この内容な何だ。
怖い。しかし、醜いだけではない。
夢で見たことがあるような記憶の世界だ。


技術レベルも高い。
大胆な構図と、緻密な仕事。
線や点でしつこく描写がくり返される。


彼女は、国展では間違いなく10年に一人の新人だ。
私が出品し初めてから、こんな強烈な作家は見たことがない。


彼女は、国展や日本を代表する作家になっていくのか。
それとも、流れ星なのか。


2012.11.25

鉄拳 振り子






お笑い芸人の鉄拳の作成したパラパラ漫画がすごい。


彼は芸人として仕事がないので、これを作ったのだという。
その純粋すぎる姿勢にも、頭が下がる。


これを見たMUSEがなんとPVに採用したいと言ってきたそうだ。


人生を考えさせる内容になっている。


どこにでもありそうな人生を描いているのだが、
妙にそれがリアリティーがある。


何だろうこの感動は。
ストレートすぎる絵と内容についつい引き込まれてしまうのだ。


この大作動画を、ペンと紙だけで完成させた彼の無謀な情熱にも、影響された。


2012.10.21

川野美華

カスヤナガト



彼女の絵が頭から離れない。


川野美華の絵は春陽展で見た。
つい会場では釘付けになってしまった。


あれから半年たつのに、まだ彼女の絵が気になって仕方ない。


奇妙な絵だ。
描いてあるものは動物なのか、昆虫なのか。


ある時、偶然出くわした、妙な形の昆虫に驚いた時のような感覚になった。


「夜行性の庭」という題名もまた印象的だった。


醜いか。
いや、画面は美しすぎるほど透き通っていて、
穏やかな春のようだ。


では、部屋に飾りたいか。
決して、そうは思わない。


この魅力は何か。


見てみたい好奇心もある。
見てはいけないものを見てしまったような後悔もある。


この不思議な魅力に今も取り付かれている。


2012.09.30

カスヤナガト

カスヤナガト



カスヤナガト の作品集「 COLORS 」が発売された。


彼が装丁画を手がけると、とにかく本が売れる。


夏川草介の「神様のカルテ」
有川浩の「植物図鑑」
東川篤哉の「 放課後はミステリーとともに 」
など、次々とヒット作の連発だ。


キャラクターはかわいらしく、
しかし、画面はさわやかで、色もきれいで、かっこいい。


皆を一瞬で虜にしてしまう絵なのだ。
本屋に並んでいたら、まず手に取ってしまうだろう。
「ジャケ買い」ならぬ「装丁買い」が、かなりあると思われる。


カスヤナガトのすごいところは、絵のうまさだけではない。
小説の空気感をとらえるうまさだ。
文筆した作家までもが、「そうこんな雰囲気なんですよ!」と感激してしまうとか。


2010年からの3年間は、装丁画 といえばカスヤナガト、と言われるくらい知名度のあるイラストレーターとなった。


2012.08.01

小林美佐子

小林美佐子



小林美佐子 という新人の個展が開催されている。


画面は黒く、闇の世界だ。
人体が発光したように、ぼんやり浮かびあがる。


女性の作品とは思えないかっこよさだ。


「身体」が彼女のテーマだ。


小林美佐子の作品に登場する人物は、危うくはかない。
しかし、しっかりとした骨格で存在感がある。


無表情で不特定な人物像。
だが確かにそこに「いる」。


若い女性の身体像と対照的に、「死」も隣合わせの危うい画面だ。
これが、彼女の世界観なのだろう。


妙にリアルで、心に痛く伝わってくる感性がある。


2012.07.29

白髪一雄

白髪一雄



国立新美術館で 「具体」-ニッポンの前衛 18年の軌跡 が始まった。


「具体」で好きなのは、白髪一雄だ。


大画面に絵具を飛び散らせた作品は、情熱そのものだ。
束縛や鬱積からの解放を求め、キャンバスの上で暴れる大量の絵具には勢いが溢れている。


描写の奴隷、脇役となっていた絵具自体を解放し、 色と形のみで勝負する。


筆でもなく、手でもなく、「足」で描いていたというのは有名な話だ。


そこには、いくらちまちまと描写してもたどり着けない「叫び」が込められている。
何も描かれていない画面から、時を越えて彼の「叫び」が聞こえて来るようだ。


2012.06.16

小岐須雅之

小岐須雅之



小岐須雅之 の画集が発売された。


線の勢いがすごい。
鉛筆で描きなぐられたような線には、生命感が溢れている。


水彩風にPC上で塗られた色彩も、雑な様で計算されていて、
呼吸するような自由さがある。


登場する少女の魅力も、一度見たら忘れられない。
憂いを秘めた眼。ふくよかな頬と唇。
官能的な表情だ。


世界観もすごい。
宇宙なのか、昆虫界なのか、顕微鏡の世界なのか。
クレオパトラの装飾品と、 クリムトの絵と、ヒョウ柄好きの現代人。
趣味へのこだわりは時代も越えて普遍的だと言わんばかりだ。


知る人ぞ知る彼の作品が、一気に世の中に出回ることだろう。


6/30には展覧会場でギャラリートークがあるようだ。


2012.05.03

第86回国展2012




今年の国展審査も終わった。


今回の審査で印象的だったのが、「盗作」問題だ。


「賞候補では?」というほどの魅力的な作品が、
「○○○という作家の盗作だ」という理由で落選となった。
授賞を逃した作品もあった。


どこからが盗作か?ということを考えさせられる審査だった。




さて、それはともかく、今回の審査で印象に残った作品を紹介したい。


竹内佑未



「うごく」 竹内佑未 国画賞の作品だ。
他の作品と明らかに感性が違う。


細いペンで画面全体が覆い尽くされている。
マンガのような面白さもある。


描き方も、描くものも、とにかく新鮮な作品だった。


レセプションで作者と二言三言交わした。
「あれは何で描いているんですか?」
「普通の…マッキーとかです。」
材料も身近なもの過ぎる。天然でこんなことができてしまうのだ。


「線の使い方がおもしろいですね。」
「高校生のころから、その辺の紙にドローイングするのが好きで…。」
高校生の頃から、こんなすごいことをしていたのか。
それより、教えた人がいたとしたら、その人はどんな人なのだ?


「新しい眼」の若手作家の企画展にも方にも出品していたが、それも良かった。
今後もこんな溢れる感性で描いていけば、どんどん活躍していく人だと思った。




桶谷紫乃



「a holiday morning」桶谷紫乃 。新人賞。
なんというさわやかな感性だろう。


色が美しく、なんとも言えない。
乳白色の世界だ。


色の美しさとはうらはらに、描いているものは混沌としている。
散らかった女性の部屋。
しかし、一つ一つのものから女性のパーソナリティーがうかがえる。


肝心な女性の顔は見えない。
物からこの女性を想像させる仕掛けもにくい。


泥のような質感の作品群の中にポッと現れたこの作品には、
現代を生きる若者の、生活そのままの姿と感性に新鮮さを感じた。


2012.04.28

中山智介

中山智介
中山智介



すばらしい国展の作家を紹介したい。
中山智介 さんだ。
昨年、画集が発売された話題の作家だ。


抽象の作家の画集発売はめずらしい。
そのことからも、中山さんの実力がうかがえる。


純粋にかっこいいいと思う抽象画だ。


質感は荒々しく、研磨され、錆び付き、埃をかぶったような絵肌だ。
そこにつかめそうでつかめない形態が浮かび上がる。
直線の入れかたも切れがあっていい。


壁に刻まれた時間のような、執念のような。
何気ない古い壁やドアに、人間の時間の蓄積を感じ、つい写真に撮っておきたくなるような感覚に似ている。
なんとも言えない「何もない絵」なのだ。


飽きのこない絵というのはこういう絵なのかもしれない。


そして、個展の数だ。驚きだ。
年に何回もやっているのだ。
この本数の多さが、作家の資質なのだろう。
頭が上がらない。


2012.03.24

入江明日香

入江明日香



入江明日香 というすごい新人がいる。


ポップなのに日本的な色彩の臭いもする不思議な作品だ。


色合いは女性にしかできない美しい使い方だ。
絶妙に入ってくるグラデーションがにくい。これには、日本の木版画の美しさを感じてしまう。


描いてあるものもいい。
少女や動物。空想的で、いつも物語があり、絵本を開くような楽しさがある。


銅版画をパネルにコラージュし、水彩やアクリルで加筆していく方法らしいのだが、
記憶の断片をつないでいくようなこの手法が繊細で、なんともおもしろく、引き込まれる。


すでに人気がある作家で、たくさん作品も作り続けている。
どの作品もすばらしく、見逃せない作家だ。


2012.02.04

松井冬子 下図

松井冬子



横浜美術館に 松井冬子 展ー世界中の子と友達になれるーを観にゆく。


会場に入った瞬間から、松井の世界にいやおうなしに引き込まれる。
観客も多く、鑑賞するのに順番待ち状態。彼女の人気ぶりがうかがえる。


作品は細部に渡り、スキがない。
こんなにグロテスクなものを描いているのに、俗な感じがせず、高尚な芸術性を感じてしまうのが、不思議だ。


この展覧会では、下図が数多く展示されていた。
この下図がすばらしい。
下図のレベルを越え、作品と言ってもいいくらいのクオリティーだ。


時々、その下図にアイディアメモが書かれている。
このメモが、松井の作品制作への「熱」をうががわせるもので、
大変感じるものがあった。
「ここは一発描き 失敗できない」とか、かなりスリリングさがある。
その中に「ペータルエッジ法で描く」という言葉が。
私はこの方法がどんなものか知らないのだが、有名な技法なのだろうか。


とにかく、作品の数といい、一点一点の質の高さといい、圧倒される展覧会だった。


2012.01.21

土屋仁応

土屋仁応



土屋仁応 の彫刻は、魅かれるものがある。


皆が「ニコッ」として触ってみたくなる。
けれども、弱々しくて、表情はどこか寂しそう。
小さな子どもを無条件に抱きしめたくなってしまう気持ちのような、そんな快さが彼の彫刻にはある。


体の曲線はとにかく気持ち良く伸びやかだ。
そして、質感。クリームのようなマットな質感は、食べてしまいたくなるような白い輝きを持っている。


大人も子どもも、童話や神話の世界に一瞬にして連れ込まれてしまう、そんな魅力が彼の作品にはある。